新商品の初回量産はトラブルだらけです。
開発段階でどれだけ製品検証をしても、量産段階になるとまた新しい問題が発生するのが中国製造です。
問題が発生するのは仕方ないとして、最悪なのは量産がすべて終わってから発見される場合です。
ロット数が5000台などになると、リワーク作業は相当時間がかかりますし、分解や選別作業のときに傷や汚れ、さらにまた新しい問題が発生するリスクがあります。
そこで、必要になるのがPP(プリプロダクション)です。
PPとは、本量産が始まる前に試験的に数十台の量産品を生産することです。
大手工場や台湾系のメーカーであれば、PPの品質を自主検査してから本量産に入るのが一般的です。
しかし、多くの中国メーカーは、このPPを行わずにいきなり本量産に入ってしまいます。
そのため、量産時に発生した問題の発見が遅れて、全数に影響してしまい、取り返しがつかないことになる場合が多々あります。
このような最悪の事態を避けるために、顧客が自分でPPの全数検査を行うことオススメします。
見つけた問題点を工場側にフィードバックして、本量産で改善してもらえば大きなトラブルを避けることができます。
改善内容によっては納期に影響が出るかもしれませんが、不具合品を出荷するよりはマシなはずです。
今はアリババ(Alibaba)などで簡単に中国サプライヤーを検索できる時代です。
似たようなサプライヤーがたくさん見つかるため、絞り込むのが難しい場合があります。
中国ではパブリックな筐体や基板が簡単に入手できます。
それらをプラモデル感覚でテキトーに組み立てて販売しているサプライヤーが山ほど存在します。
また、オリジナリティがある商品でも、コピーしたりされたりの世界なので、どのサプライヤーがオリジナルなのかもなかなか判断できません。
このような状況なので、日本に居ながらにして優秀な中国サプライヤーを探すのは簡単ではありません。
実際に企業訪問をして工場監査を行うことは必須ですが、その前の段階で、ある程度の選定ができますのでその方法を書いていきます。
1. 色々な商材を扱っているサプライヤーは避ける。
ものづくりには様々なノウハウや経験が必要です。ひとつのシンプルな商品を製造するだけでもノウハウ蓄積に数年は必要です。
売れ筋商材にすぐ手を出したり、無関係に幅広い商材を扱っているサプライヤーはこのようなノウハウを持っていない可能性が非常に高いので避けるのがベターです。
「なんでもできる」は「なにもできない」と同じです。
アリババサイトやオフィシャルサイトで取り扱い商材を確認して、ある程度判断できるかと思います。
取り扱い商品に一貫性があるサプライヤーを選ぶようにしましょう。
やはり、餅は餅屋に依頼するべきです。
つづく
中国製の電子製品を日本で販売するためにはいくつかの認証取得が必要になります。
WiFiやBluetoothなど電波送受信機能がある製品はTELEC(技適)を、コンセントに接続する製品はPSE(電気用品安全法)の取得もしくは届け出が必要になります。
いずれの試験も日本の第三者試験機関で行うことが可能ですが、中国メーカーを通して中国の第三者試験機関に依頼した方が手間も少なく、費用も安くなります。
試験機関にはサンプルを提供するのですが、このサンプルが量産品と違う場合があるので要注意です。
いわゆるゴールデンサンプルです。
中国の試験機関は試験結果に問題があったときに申請メーカーのエンジニアを呼んで、一緒に対策を考えたり技術コンサルティングをすることがあります。
このときにコンデンサや抵抗の定数を変えたり、設計変更を加えたりしながら試験が合格になるようにその場で対策を検討するのが一般的です。
無事に試験が合格したら、設計変更の内容を量産にも適用する必要があります。
しかし、合格証書を入手したことで安心する中国メーカーは設計変更の内容を量産に適用しないことが多々あるのです。
中国での認証取得のこのようなやりとりは日本の企業にわかるはずもなく、対策が非常に困難です。
試験 用のゴールデンサンプルと量産品が同じであることを確認するためには中国メーカーにかなり深くまで入り込んで作業を行うか、費用は高くなりますが日本の試験機関に依頼するしかありません。