裸の基板や、組立て途中の半製品を無造作に重ねたり、汚れやすい場所に置いたりしている工場は、ムダに不良品を作り出す可能性があるので、避けたほうがいいでしょう。
基板は部品のリード切断面が飛び出しているため、他の製品を傷つけやすい状態になっています。当然、基板を重ねたりすれば、お互いに傷ついて、ショートや部品不良などにつながります。
また、基板のコンデンサなどが帯電状態であれば、その端子から放電されて、他の基板を破壊する可能性もあります。
筐体に組み込まれた半製品を重ねれば傷がつきますし、汚い場所に置けば汚れてしまいます。
やはり、基板はお互いに触れ合わないように一枚ずつ専用台に置く必要がありますし、半製品は傷つかないクッションの上に置く必要があります。
生産工程のあらゆる場所で、基板や半製品の保護対策がされていれば、ムダな不良は発生せず、完成品の外観も非常に綺麗なものになります。
取引をするなら、基板や半製品に対する保護がしっかりできている工場にしたいものです。
-「工場監査のポイント⑨」につづく-
生産設備機器の種類やその管理状態を確認することで、製品のつくりこみ品質レベルがわかるので、ぜひ確認しましょう。
たとえば、液晶パネル搭載品にも関わらず、クリーンルーム設備がなかったり、あっても空調管理がされていない場合は、パネル内にホコリが入ります。
最新のSMT設備があっても、リフロー温度管理がされていなければ、基板不良が多発します。
ハンダ付けの温度管理がされていなければ、余計な不良品を作り出す可能性があります。
それとは逆に、通常は手作業で行うような、ねじ止めやボンド付け作業などを、機械を使って自動化していれば、漏れなく、効率よく、均一な製品をつくることができます。
工場監査のときは、どのような生産設備があり、どのような管理がされているかを、チェックしましょう。
-「工場監査のポイント⑧」につづく-
検査設備冶具がまったくない工場は、不良品の流出リスクがあります。
検査設備冶具がないと、検査精度は検査員の感覚だけが頼りになってしまいます。当然ながら、人によって判断基準が違ったり、体調に左右されたり、検査漏れがあったりと、安定した品質確保が難しく、不良品の流出リスクがあります。
漏れなく、効率よく、定量的な検査を行うためには、検査用の専用設備や冶具が必要なのです。
検査設備冶具といってもいろいろあり、基板の電圧や機能検査用の冶具、電波測定用の設備、光度、音量、色味などの測定装置など、あげればキリがありません。
これらの冶具などは、専門知識がある生産技術エンジニアが、それぞれの製品に合わせて特注したり、自作する必要があります。
工場の生産技術エンジニアのレベルが低かったり、そもそもいなかったりすると、検査設備冶具のレベルも下がることになります。
このような工場では、検査員の感覚頼りの検査になるので、不良品流出の可能性があるので、注意しましょう。
-「工場監査のポイント⑦」につづく-