報酬制度や福利厚生がない工場は、品質が安定しない可能性がありますので、注意しましょう。
近年、中国では経済発展にともない、賃金が低い工場作業員の人材確保が非常に困難になってきています。作業員は少しでも職場環境がよく、給料の高い工場に移ってしまうのです。
工場側にとっては、できるだけベテラン作業員をラインに配置することで、安定した品質を確保したいと考えています。
もし作業員の流動性が高くなると、生産現場に常に新人がいる状態になるので、教育が必要になるだけでなく、作業ミスが発生する可能性が高くなってしまうからです。
作業員の定着とモチベーション向上に非常に有効な方法が、報酬制度と福利厚生です。
競争社会で育った中国人にとって「努力すれば報われる」という明確な報酬制度はやりがいがあります。また、娯楽をほとんど経験していない若い作業員にとって、定期的な社員旅行や誕生日会などの福利厚生行事は、非常に魅力的な制度に感じます。
毎月、優秀な作業員を表彰して張り出したり、定期的なイベント行事などで作業員定着の努力をしていれば、ベテラン作業員の育成が可能になり、製品品質の安定につながります。
工場監査では、ぜひ報酬制度と福利厚生の有無を確認しましょう。
-「工場監査のポイント⑫」につづく-
修理場の修理担当者が多かったり、修理品が山積みになっている工場は、当然ながら不良品が多いということなので、要注意です。
生産現場での不良率を一概に言うのは難しいですが、3%前後であれば平均的、5%以上であれば多いと考えていいでしょう。
生産ラインでの日産数量と、修理担当者の1日の平均修理台数がわかれば、おおよその不良率が計算できます。
このとき、工場側から生産ラインの不良率データが提供されても絶対に信じてはいけません。
製造現場の管理者は、自分が管理している現場の不良率が高ければ、自身の査定に響きますし、メンツも立ちません。当然、都合の悪い不良データを削除した過少申告の資料になります。
ですので、資料は信じず、現場の現実だけを信じるようにしましょう。
自らの眼で、修理場の状況を確認することが大切です。
-「工場監査のポイント⑪」につづく-
作業員のしつけ教育がしっかりできている工場は、工場全体の品質管理レベルが高いと考えていいでしょう。
5S(整理、整頓、清潔、清掃、しつけ)は工場管理の基本ですが、その中でもっとも難しいのが「しつけ」です。
整理、整頓、清潔、清掃まで出来ても、それを習慣化させるためには日常的な「しつけ教育」が必要になるからです。
このしつけ教育は、一朝一夕では絶対に不可能で、優秀な管理者による長期的な指導教育が必要です。
しつけレベルを確認するのは簡単で、私語、立ち歩き、よそ見、携帯電話遊び、乱れた作業服などの有無ですぐに判断できます。
しっかりしつけ管理がされている工場は、統一された作業服を綺麗に着て、客が来てもよそ見をせず、しゃべらずに黙々と作業をこなしています。
このような工場は、5Sが行き届いており、作業環境も綺麗であるため、不良品や異常を見つけやすく、品質管理レベルが高いと考えていいでしょう。
-「工場監査のポイント⑩」につづく-