IQCの仕事がいい加減であれば、不良品を作り出してしまうだけでなく、生産計画に大きく影響を与えてしまいます。
部品材料の受入検査を行うIQC(Incoming Quality Control)部門は、不良部品を生産ラインに入れさせないという重要な役割があります。
IQCでは、事前に準備した検査指示書と現品サンプルをもとに、検査用の設備や冶具を用いて、正確で定量的な検査が必要です。
そして、検査結果は記録に残し、問題があれば早急にサプライヤーに返品するなどして、生産スケジュールへの影響を最小限に抑える必要があります。
ところが、IQCに検査指示書、現品サンプル、冶具などがなければ、不良品を見つけるのは困難になってしまいます。
結果的に生産ライン上で組立てる段階になってはじめて不良品が見つかることになり、生産ラインに影響が出るだけでなく、その段階でサプライヤーに返品しても、すでに遅く、納期遅延につながります。
IQCで不良を見つける仕組みや設備があれば、生産スケジュールへの影響を最小限に抑えることができますので、ぜひ確認しましょう。
-「工場監査のポイント⑭」につづく-
部品倉庫や完成品倉庫には意外な落とし穴があるので、しっかり確認しましょう。
たとえば
部品倉庫
電子部品の温湿度管理ができていない → 部品不良につながります。
入出庫管理ができていない → 在庫数量の把握が困難になります。
滞留部品の定期検査がない → 部品の劣化などを見逃してしまいます。
完成品倉庫
日光、温湿度管理ができていない → ダンボールの変色や変質につながります。
積荷高さ制限がない → 荷崩れによる損傷の危険性があります。
鍵を閉めて管理しない → 盗難の可能性があります(中国では日常)。
などなど
生産現場の品質管理が行き届いた工場は、倉庫管理もしっかりしています。
ぜひ確認してみてください。
-「工場監査のポイント⑬」につづく-
報酬制度や福利厚生がない工場は、品質が安定しない可能性がありますので、注意しましょう。
近年、中国では経済発展にともない、賃金が低い工場作業員の人材確保が非常に困難になってきています。作業員は少しでも職場環境がよく、給料の高い工場に移ってしまうのです。
工場側にとっては、できるだけベテラン作業員をラインに配置することで、安定した品質を確保したいと考えています。
もし作業員の流動性が高くなると、生産現場に常に新人がいる状態になるので、教育が必要になるだけでなく、作業ミスが発生する可能性が高くなってしまうからです。
作業員の定着とモチベーション向上に非常に有効な方法が、報酬制度と福利厚生です。
競争社会で育った中国人にとって「努力すれば報われる」という明確な報酬制度はやりがいがあります。また、娯楽をほとんど経験していない若い作業員にとって、定期的な社員旅行や誕生日会などの福利厚生行事は、非常に魅力的な制度に感じます。
毎月、優秀な作業員を表彰して張り出したり、定期的なイベント行事などで作業員定着の努力をしていれば、ベテラン作業員の育成が可能になり、製品品質の安定につながります。
工場監査では、ぜひ報酬制度と福利厚生の有無を確認しましょう。
-「工場監査のポイント⑫」につづく-