サンプル評価【製品開発プロセス⑤】
OEM(商材仕入れ)で入手するサンプルは製品としてすでに完成しています。そのため、サンプル評価は出来栄えを確認する程度なので、比較的簡単です。
しかし、ODM(製品開発)で入手できるサンプルは、量産移行する最後の段階まで、製品として未完成です。つまり、不具合やバグだらけのサンプルを評価する必要があるため、専門知識や評価技術が必要になるだけでなく、中国メーカー側との密接なコミュニケーションやトラブル解決の交渉力なども必要になってきます。
ODM(製品開発)での各サンプル段階で必要な評価内容などを書いてみました。
1. ES(Engineering Sample) or Prototype
金型を起こす前の外観確認用サンプル(手作り)なので、外観デザインをしっかり確認しましょう。外観デザインを変更するなら、このタイミングです。いちど金型を起こすと、小さな修正も非常に困難になりますので、注意しましょう。
2. EVT(Engineer verification test) Sample
この段階のサンプルは不具合だらけです。基本的な機能が搭載されているかをしっかり確認しましょう。基本機能が要求と違ったり、変更が必要な場合はこのタイミングで修正しましょう(スケジュールに影響は出ますが)。また、金型を起こした最初の筐体が確認できるのもこのタイミングですので、筐体が指示通りになっているかも確認しましょう。
3. DVT(Design verification test) Sample
基本機能が動くようになり、本格的に評価が始められるサンプルです。といっても、小さなバグや不具合がまだまだあるので、中国側にフィードバックしましょう。バグが中国側で再現しない場合や、直せない場合などは、日本側で原因究明する必要が出てきますので、時間と専門知識が必要になります。
4. PVT(Process verification Test) Sample
バグや不具合もある程度改善された本格的なサンプルです。ここでは、信頼性試験(低温試験、静電気テストなど)やイジワルテスト(電源ON/OFF連続、ボタン連打など)を行い、量産に向けて完成度を上げるための評価を行いましょう。中国側に試験用の専用設備があれば依頼すればいいかと思いますが、日本側でもしっかり確認したいものです。また、PSEなどの外部認証試験が必要であればこのタイミングで出すといいでしょう。
5. PP(Pre-Production) 量産品と同じ部材を使って作る少量試作サンプルなので、量産同等品のサンプルです。このタイミングでは、評価というよりも仕様や動作の最終確認になります。ソフトウェアのバグであれば修正可能ですが、このタイミングでハードウェアの問題が見つかると、非常に面倒なので注意しましょう(すでに量産用部材を手配した後なので修正ができない)。
このように、ODM(製品開発)では各種サンプルで必要な評価内容があります。OEM(商材仕入れ)のサンプル評価とは比較にならないほどのリソースと時間がかかりますので、理解しておきましょう。