パントーンの色が合わなかった理由
製品の筐体や印刷物の色は、パントーンという色見本帳をもとにして指示を出すのが一般的です。
しかし、中国側は「だいたい似た色ならOK」という認識なので、要求が厳しい日本側と色の再現レベルをめぐってもめることはよくあります。
ただ、その原因は思わぬところにあるかもしれません。
このときも、届いたサンプルの色とパントーンの色見本が合っておらず中国側ともめていました。
中国側は「色は合っている」、日本側は「合っていない」で、いつまで経っても平行線です。
たしかに、実際の色あわせの作業は非常に難しく、パントーンとまったく同じ色を再現することは不可能なので、ある程度の妥協は必要になります。
しかし、このときはあまりに色が違っていたので、妥協できるレベルではありませんでした。
やり直しをさせても、ほとんど改善されなかったため、工場の色調整の現場に突入しました。
現場ですぐに、実物とパントーン準備させました。
並べれば違いはすぐにわかるので、あとは説得するだけ、のはずが。
「???」
実物とパントーンの色が同じです。色は見事に再現できていました。
しかし、嫌な予感がした私は持参していた自分のパントーンと比べてみました。
「やはり、色が違う・・・」
つまり、色が合わなかった原因は中国側と日本側のパントーン色見本の色が違っていることだったのです。
中国側のパントーンをよくみると、日焼けで黄ばんで色が変わっています。
聞いてみると、5年以上使っているとのこと。
すぐに、新しいパントーンを用意させ色調整をさせたところ、すぐに改善されました。
以後、パントーンは毎年買い換えることを約束して、今後の対策としました。
トラブルの原因は思わぬところに潜んでおり、現場で現物を見て、現実を知らないと解決できないものです。