北海道で製品が起動しない
出荷済みの車載製品が北海道などの氷点下環境で起動しなくなるトラブルが発生しました。
一度動きだせば、その後は問題がないとのことで、製品起動時のプロセスになんらかの問題があることは明らかでした。
実際に不具合が発生した製品を氷点下まで温度を下げて分析したところ、電源変圧回路(DC-DCコンバーター)の出力側に接続されている電解コンデンサが原因であることがわかりました。
この電源回路の出力側には充電放電用のコンデンサが接続されており、それはポンプのように電気を貯めたり放出したりする役割をしています。
この電気を貯めこむ力は電解コンデンサの容量で決まります。
しかし、電解コンデンサの容量というのは低温時に小さくなる特性を持っています。
低温時に容量が小さくなるということは、電気を貯めたり放出したりする量が小さくなり、出力電流が減ってしまう(出力電圧が下がる)ということです。
つまり、このトラブルの原因は、低温でコンデンサ容量が小さくなり、十分な電流が出力できなくなってしまったため(結果的に出力電圧が下がった)、異常を検出した保護回路が動作してしまった(起動しない)ことでした。
対策として、コンデンサ容量をひとまわり大きいタイプに変更し、その周辺回路の調整で対応できました。
電解コンデンサに限らず、多くの電子部品は低温時に特性が変わってしますため、量産設計のつくりこみができていないと、このような不具合が容易に発生します。