カネのあるとこ、賄賂あり
中国には賄賂が蔓延しています。それは政府関係者だけでなく、一般企業のなかも同じです。中国人の賄賂に対する感覚は日本人とまったく違うため、その実態はなかなか理解しにくいようです。日本人が騙されている場合も非常に多く、しかも、そのほとんどが騙されていることに気づいていません。
中国メーカーと通常取引する上では、気にしなくても良いかもしれませんが、中国現地でローカル採用したり、業務委託をするときは、ぜひ注意しましょう。
彼らにとって賄賂は、道に落ちている金と同じで「拾わないと損」という認識です。道に金を落とすやつが悪い(賄賂を見逃すやつが悪い)という感覚で、バレるとちょっと面倒だな、くらいにしか考えていません。
賄賂を行うのはほとんどが男性です。
中国人男性にとって、金持ちは男性としてのステータスであり、彼らは賄賂をしてでも金儲けをしようと考えます。また、賄賂に対する社会的罰則や制裁が小さいというのもひとつの要因になっているでしょう。一方、女性は自分自身で金儲けをするというより、金持ちの男性と一緒になることがステータスですので、自分で賄賂をすることは非常に稀のようです。
すべての中国人男性が賄賂に手を出しているわけではありませんが、仕事が良くできる優秀な人が積極的に行う傾向があります。むしろ賄賂が仕事のモチベーションとなり、彼らのやる気を引き出しているといっても過言ではありません。(わたし自身も「あんな優秀な部下が、なぜ!?」と何度人間不信におちいったことか・・・)
中国メーカーの内部も賄賂だらけですが、たとえば、
開発部のエンジニアに金型の見積もりを取らせる。
→ 金型メーカーからキックバックを受け取る。
購買部に新しいサプライヤーを探させる。
→ キックバックが大きいサプライヤーと契約する。
製造部にハンダや配線などの副資材を準備させる。
→ 副資材業者からキックバックを受け取る。
生産技術部の担当者に冶具を準備させる。
→外注の冶具業者からキックバックを受け取る。
品質管理部を外注検品に行かせる。
→検品工場から現金や製品を受け取り、ロット合格にさせる。
倉庫担当者に廃棄物処理をさせる。
→廃棄物回収業者からキックバックを受け取る。
信じられないかもしれませんが、中国ではこれが日常です。
中国人経営者は毎日のように社員に目を光らせており、見積もり金額や伝票におかしなところがないかをチェックしています。逆に、優秀な社員の定着のために、ある程度の賄賂は黙認している会社もあります。
一方、現地の日本企業は、言葉の壁や現地相場価格がわからないこともあり、チェックが非常に甘く、騙されていることにも気づいていないところが多いようです。
実際に中国メーカーで行われている対策は、たとえば
1.カネを直接扱う担当者は女性を採用する(管理された中国メーカーの購買部はほとんどが女性)
2.経営者も相場価格を把握しておき、細かくチェック
3.購買部などはサプライヤーとの癒着防止のために定期的に担当を入れ替える
4.価格決定権の重要ポストに社長の親族を置く
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などですが、賄賂を完全になくすことは非常に難しいのが実情です。
しかし、賄賂の実態を知っているだけでも、ある程度のトラブルは回避できるはずです。