カネのあるとこ、賄賂あり
- JAINAL SERVICE LIMITED
- 2015年12月29日
- 読了時間: 3分
更新日:6月20日

今ではだいぶクリーンな社会になってきたとはいえ、一昔前の中国社会には賄賂が蔓延していました。それは政府関係者だけでなく、一般企業のなかも同じです。中国人の賄賂に対する感覚は日本人とまったく違うため、その実態はなかなか理解しにくいようです。日本人が騙されている場合も非常に多く、しかも、そのほとんどが騙されていることに気づいていません。
中国メーカーと通常取引する上では、気にしなくても良いかもしれませんが、中国現地でローカル採用したり、業務委託をするときは、ぜひ注意しましょう。
個人間の関係性を重視する中国社会において賄賂というのは非常に身近です。賄賂というと聞こえが悪いですが、ニュアンスとしては「お返しの手数料」くらいの感覚に近いかもしれません。
また、私の経験からいうと、賄賂を行うのはほとんどが男性です。
今の若い人は違うかもしれませんが、70年代や80年代生まれの中国人男性にとって、金持ちは男性としてのステータスであり、彼らはどんな手段を使ってでも金儲けをしようと考えてきた世代です。彼らが悪いということではなくて、育ってきた時代と環境がそうだったというだけです。また、今は賄賂のような不正な取引への監視と罰則は厳しくなりましたが、昔は賄賂に対する社会的罰則や制裁が小さかったというのも蔓延したひとつの要因だったと言えるでしょう。
すべての中国人男性が賄賂に手を出しているわけではありませんが、私が個人的に驚いたのが、仕事が良くできる優秀な人が積極的に行う傾向があるということです。むしろ賄賂が仕事のモチベーションとなり、彼らのやる気を引き出しているといっても過言ではありません。(わたし自身も「あんな優秀な部下が、なぜ!?」と何度人間不信におちいったことか・・・)
たとえば、私が実際に見てきた例で言いますと
開発部のエンジニアに金型の見積もりを取らせる。
→ 金型メーカーからキックバックを受け取る。
購買部に新しいサプライヤーを探させる。
→ キックバックが大きいサプライヤーと契約する。
製造部にハンダや配線などの副資材を準備させる。
→ 副資材業者からキックバックを受け取る。
生産技術部の担当者に冶具を準備させる。
→外注の冶具業者からキックバックを受け取る。
品質管理部を外注検品に行かせる。
→検品工場から現金や製品を受け取り、ロット合格にさせる。
倉庫担当者に廃棄物処理をさせる。
→廃棄物回収業者からキックバックを受け取る。
信じられないかもしれませんが、少し前の中国ではこれが日常でした。
中国人経営者は毎日のように社員に目を光らせたり、見積もり金額や伝票におかしなところがないかをチェックしたりと大変でした。逆に、優秀な社員の定着のために、ある程度の賄賂は黙認している会社もあったほどです。
一方、現地の日本企業は、言葉の壁や現地相場価格がわからないこともあり、チェックが非常に甘く、騙されていることにも気づいていないところが多かったようです。
私が実際に聞いた、中国メーカーでは以下のような対策が行われているとのことでした。
1.カネを直接扱う担当者は女性を採用する
2.経営者も相場価格を把握しておき、常に細かくチェックする
3.購買部などはサプライヤーとの癒着防止のために定期的に担当を入れ替える
4.価格決定権の重要ポストに社長の親族を置く
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などですが、時代が変わってきたとはいえ賄賂を完全になくすことは非常に難しいと思われます。
しかし、賄賂の実態を知っているだけでも、ある程度のトラブルは回避できるはずです。